人の土俵で褌を取る

気になったニュースの備忘録+α

中村哲氏 最後の寄稿

中村哲氏 最後の寄稿

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20191208 中村哲 最後の寄稿01

20191208 中村哲 最後の寄稿02

中村哲 (医師) - Wikipedia

ある少年がこんなことを思いつく。一人が三人に対して何か善いことをする。同時にこんなルールを置く。善いことをしてもらった人は別の三人に対し、何か善いことをしてあげる。これが実現すれば、ひどい世界も少しはましにならないか。米映画の「ペイ・フォワード 可能の王国」(二〇〇〇年)はこんな物語である
▼映画の中で、少年は不幸にして亡くなるが、その晩、少年の死を悼み、国中から大勢の人間が少年の家へと集まりだす。家に向かう車のヘッドライトがどこまでもどこまでも続く。美しいラストシーンを思い出している
アフガニスタンの復興に尽力しながら同国東部で殺害された医師の中村哲さんの遺体が帰国した。空港に在日アフガニスタン人が集まって「私たちのヒーローです」「守れなくて申し訳ない」の横断幕を掲げる。冥福を祈っている
▼「裏切られても裏切り返さない誠実さこそが、人々の心に触れる」。中村さんの言葉だ。手を差し伸べた現地で、殺害されるという理不尽な事件と、その言葉はあまりにかけ離れている。事件当初はそう感じたが、間違っている
▼その死を心から悼む姿を見れば、中村さんの誠実さは、中村さんの起こした奇跡は、あの言葉通り、アフガニスタンの人の心に深く触れたのだ。そう信じる
▼中村さんが人々の心に残したもの。それは生き続ける。広がっていく。
2019年12月10日 中日新聞 中日春秋
https://www.chunichi.co.jp/article/column/syunju/CK2019121002000105.html

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