人の土俵で褌を取る

気になったニュースの備忘録+α

君が代

君が代

 サッカー界の巨星リオネル・メッシ選手(29)は、母国アルゼンチンにW杯準優勝など多くの栄誉をもたらした。だが彼は長年、こんな非難を受け続けた。「なぜ国歌斉唱で歌わないんだ」
▼十三歳でスペインに渡った彼にはスペイン代表を選ぶ道もあったが、アルゼンチン代表として戦うことを選んだ。にもかかわらず、「国歌を歌わぬ」となじられる
▼その胸中を彼は、語った。「考えもなしに攻撃する人に悩まされている。僕はあえて国歌は歌わない。僕は歌わずに、(栄誉のために奮闘を誓うアルゼンチン国歌の精神を)感じる。それは、それぞれが自分なりのやり方で感じるものではないか」
▼しかし、どうしても国歌は大声で歌わねばならぬという人もいるようだ。森喜朗元首相がリオ五輪選手団の壮行会で、「どうしてみんなそろって国歌を歌わないんでしょうか。国歌も歌えないような選手は日本の代表ではない」と言ったという
▼この時、選手団が斉唱しなかったのは当然で、「君が代独唱」に耳を傾けていたのだ。それを一方的に非難するのだから、「考えもなしに攻撃する人」には困ったものだ

▼口にせずとも、いや、あえて口にせぬことで決意をみなぎらせる。そういう態度すら認めぬ狭量な人が、東京五輪パラリンピック組織委員会の代表を務めているとしたら…。それこそ、憂うべき事態ではないのか。
中日春秋 2016年7月5日
http://www.chunichi.co.jp/article/column/syunju/CK2016070502000121.html

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