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100メートル9.98秒 桐生祥秀

桐生祥秀(よしひで)選手

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2017年9月10日 中日春秋(朝刊コラム)
日本新記録!桐生選手100m 9秒98 日本インカレ男子100m決勝 - YouTube

中日春秋テキスト

日本陸上の男子100メートルで最初に10秒台を記録したのは一九二五(大正十四)年の谷三三五(たにささご)の10秒8という。追い風五メートルの中での達成と聞くから現在のルールでは参考記録だが、ともかくも10秒台である
▼この選手、グリコのキャラメルにあしらわれているゴールするランナーのモデルのお一人。両手を上げ、満面笑みのあのランナーばりに喜びたくなる日本陸上界の悲願達成である。桐生祥秀選手が9秒98を記録。日本人初の9秒台である
▼谷から九十二年。「暁の超特急」吉岡隆徳(たかよし)の10秒3(三五年)、飯島秀雄の10秒1(六四年・手動計時)、伊東浩司(九八年)の10秒00…。日常生活では気にも留めぬ、わずかな秒刻を少しずつ削るように短縮してきた長い歳月を思う
▼世界記録9秒58のボルトは身長一メートル九六。9秒74のガトリンは一メートル八五。9秒台には歩幅が広く、それが有利になる大柄な選手がひしめいている。その中で桐生は一メートル七六。比較すれば、体格に違いのある日本人にとって10秒の壁がいかに高く険しかったことか。そしてそれを今越えた
▼今年は苦しい時期が続いていたそうだ。六月の日本選手権決勝では四位、八月の世界選手権では100メートル代表から外れた。「今に見ておれ」の火がついたのだろう
▼スプリンターにはもちろん、追い風が有利に働く。が、逆風もまた背中を強く押してくれるものらしい。
2017年9月10日 中日春秋(朝刊コラム)
http://www.chunichi.co.jp/article/column/syunju/CK2017091002000106.html

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