人の土俵で褌を取る

気になったニュースの備忘録+α

ニコラス・ウィントン

ニコラス・ウィントン
ロンドン郊外の美しい町に住むグレタ・ウィントンさんが、夫ニコラスさんの重大な秘密に気づいたのは、結婚して四十年もたってからだった。屋根裏で夫の過去の行いを物語る驚くべき書類を見つけたのだ
▼その秘密が公にされると、世界中から「あなたこそ、私の父だ」と名乗りを上げる人が現れ、その数は二百人を超えた。「あなたは、私の祖父だ」という人まで現れて、夫妻を驚かせた
▼一九三八年、ナチスの脅威が迫る中、チェコスロバキアを訪れたニコラスさんは、ユダヤ人難民らの姿に衝撃を受けた。各国とも難民受け入れに消極的だったが、彼は「せめて子どもたちだけでも」と里親を探して、六百六十九人の子どもたちを英国に脱出させた
▼しかし戦後、ニコラスさんは、救い切れなかった無数の命を思い、自らの英雄的な行いについて、口をつぐんだ。妻にさえ打ち明けなかった。その理由を問われれば、英国紳士らしくユーモアを交え答えた。「夫が妻に言わないことなど、たくさんあるよ」
▼昨年百六歳で逝った彼と、彼を父と慕う子らの姿を描いた映画『ニコラス・ウィントンと669人の子どもたち』がきょう、名古屋などで公開される
▼映画はこんな字幕で始まる。<世の中には、観客として見るだけでなく、自身が主人公となる物語もあります>。「戦争と平和」とは、そういう物語なのだろう。
中日春秋(朝刊コラム):中日新聞(CHUNICHI Web)
http://www.chunichi.co.jp/article/column/syunju/CK2016112602000115.html
2016年11月26日中日春秋

ニコラス・ウィントン イギリスのシンドラー
ニコラス・ウィントン - Wikipedia
去年2015年7月1日に亡くなっている。報道もされただろうに私は何を見ていたのか。


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