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気になったニュースの備忘録+α

仮面の女神

国宝の指定答申

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土偶「仮面の女神」=長野県茅野市尖石縄文考古館提供

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中ッ原遺跡70号土坑から左半身を下にした状態で発見された「仮面の女神」=長野県茅野市尖石縄文考古館提

長野県茅野市中ッ原(なかっぱら)遺跡で2000年に出土した縄文時代の土偶(「仮面の女神」)。18日にあった国の文化審議会は、国宝に指定するよう文部科学相に答申した。県内の国宝指定は1995年6月に指定された茅野市棚畑遺跡出土の縄文土偶(「縄文のビーナス
縄文のビーナス - Wikipedia
」)以来8件目。
茅野市尖石(とがりいし)縄文考古館によると、「仮面の女神」は2000年8月23日、茅野市湖東中村の中ッ原遺跡70号土坑(どこう)の調査で見つかった。形や文様などから縄文時代後期前半(約4000年前)のものと考えられている。04年11月に長野県宝に、06年6月に国重要文化財に指定された。同市が所有し、同考古館が保管する。
ほぼ完全な形で残る大型の立像中空土偶で高さ34センチ、重さ2.7キロ。仮面土偶としては国内最大級。黒褐色で、頭部前面に最大の特徴の大きな逆三角形の顔面が取り付けられている。下腹部が張り出し、股間には女性器も表現されている。へそを中心に沈線による同心円文が描かれ、両足は大きく膨れて安定感があり、底面には網代痕が残る。放射線透過による観察から頭部、首部、腕部、胴部、脚部が別々に作られた後、接合されたという。
土坑は堆積(たいせき)した土の状態から墓と考えられている。土坑内に直径50センチほどの小穴を掘り、左側面を下にして横たわるように埋葬されていた。土偶は破損して出土することが多く、同市教育委員会文化財課は「埋められた状態で発見された例としてまれな存在」と話す。
09年9〜11月、英国の大英博物館で開かれた「土偶の力」展に出品以降、「縄文のビーナス」とともに16の展覧会に出展。展覧会で評価が高まり、縄文時代における土偶造形の頂点に位置付けられる資料として、出土状態も明らかである点から国宝に指定された。
「縄文のまち」を掲げる茅野市縄文時代の国宝土偶全5点のうち2点を所有することになる。18日は国宝指定を祝い、市役所など4カ所に横断幕などを掲げた。記者会見した柳平千代一・茅野市長は「大変うれしい。複数の国宝を持つのは県内では茅野市だけ。『縄文プロジェクト構想』の中で生かしたい」と笑顔で話した。
県考古学会長の会田進さん(67)は「ほぼ完全な形での出土で素晴らしい土偶。国宝土偶二つを茅野市が所有することになり、文化財行政に新たな展望が開けたと思う」と喜んだ。
同考古館では19〜23日、無料開館し、「仮面の女神」のレプリカなどを展示する。【宮坂一則】
毎日新聞 -
http://mainichi.jp/feature/news/20140319k0000m040057000c.html

中日春秋

神は、ご自分にかたどって人を創造された。土のちりで人を形づくり、その鼻に命の息を吹き込んで…。旧約聖書が語る人類誕生のありようだが、神さまが土をこねて人間をつくりだすという神話は、世界各地に伝わっているという
▼人間が自分に似せて、土で形をつくる。人形作りは、太古から続く人間の業だが、縄文の土偶は世界で最も古いものかもしれないそうだ
▼いや土偶だけではない。大英博物館のマクレガー館長は『100のモノが語る世界の歴史』(筑摩書房)で縄文時代の壺(つぼ)について書いている
▼<世界で最初の壺は日本でつくられた>。そしてそれを使って煮炊きした日本こそは、<どうやらスープの発祥の地であり、シチューの祖国のようだ>と
▼こういう館長が率いているだけあって、二〇〇九年に大英博物館で開かれた特別展「土偶の力」は、見事なものだった。七十点以上が並べられた中でも、主役扱いされたのが、長野県茅野市で出土した国宝「縄文のビーナス」と、近々国宝に指定される「仮面の女神」だった
▼マクレガー館長は、こうも書いている。<ほとんどの国は海外で自国を紹介するときに、帝国時代の栄光や侵略軍だった時代を振り返る>。だが経済大国日本は、驚いたことに太古の技術の高さと美的洗練を紹介する。<これはじつに説得力がある>と。世界に誇るべき創造の女神なのだ。
中日新聞:中日春秋:コラム(CHUNICHI Web) - 2014年3月20日
http://www.chunichi.co.jp/article/column/syunju/CK2014032002000110.html

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