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H2A打ち上げ

H2A打ち上げ、衛星を分離 成功率95%に


写真:情報収集衛星を載せ、打ち上げられたH2Aロケット20号機=12日午前10時21分、鹿児島県南種子町の種子島宇宙センター、福岡亜純撮影拡大情報収集衛星を載せ、打ち上げられたH2Aロケット20号機=12日午前10時21分、鹿児島県南種子町の種子島宇宙センター、福岡亜純撮影

 政府の情報収集衛星を載せたH2Aロケット20号機が12日午前10時21分、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。約20分後、衛星は分離され、所定の軌道に投入された。H2Aの打ち上げ成功は14回連続で、20回中19回目。成功率は信頼性の高さの目安とされる95%に達した。軌道投入された情報収集衛星は7機目(実験機をのぞく)。
 H2Aは純国産のH2を改良した日本の主力ロケットで、初号機の打ち上げは2001年8月。03年11月の6号機で打ち上げに失敗した後は成功を重ね、増強型のH2Bも2回成功している。信頼性は米国のアトラス5(96.4%、文部科学省調べ)や欧州のアリアン5(94.9%、同)など海外の有力ロケットと比べても遜色ない水準だ。打ち上げ業務は07年に民営化され、三菱重工業が国際市場で衛星打ち上げ受注を目指している。
 情報収集衛星は1998年の北朝鮮のミサイル発射を受けて導入が決まった事実上の偵察衛星で、03年から打ち上げている。今回は夜間や曇天でも電波で地上を調べられる「レーダー」衛星の3号機。詳しい性能は公表されていないが、商業衛星と同程度の能力で、地上の約1メートル以上の物を見分けられるとされる。開発・製造と打ち上げの費用は計約500億円。
asahi.com 2011年12月12日10時46分

衛星打ち上げビジネス 参入に課題

12日、政府の情報収集衛星を載せて打ち上げに成功したH2Aロケットは、打ち上げの成功率が95パーセントまで高まり、国際的な信頼性の目安に到達しました。専門家は「衛星打ち上げビジネスに本格的に参入するためには、新興国のニーズに対応することが必要だ」と指摘しています。
情報収集衛星を載せたH2Aロケット20号機は12日、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられ、予定どおり衛星を分離して打ち上げは成功しました。H2Aは8年前、6号機の打ち上げに失敗しましたが、これまで20回のうち19回の打ち上げに成功し、打ち上げの成功率は、国際的な信頼性の目安とされる95パーセントに到達しました。来年には、初めて海外から受注した韓国の人工衛星を打ち上げる予定で、今後、さらなる受注の獲得を目指しています。しかし、世界の衛星打ち上げ市場で大きなシェアを占めるヨーロッパやロシアの主力ロケットに比べて、H2Aの打ち上げ能力は小さく、人工衛星の大型化が進むなかで、H2Aでは打ち上げることができない衛星も増えています。国の宇宙開発委員会の元専門委員で科学ジャーナリストの中野不二男さんは「今後、新興国の中から衛星を必要とする国が出てくるものとみられる。衛星打ち上げビジネスに本格的に参入するには、こうしたニーズに対応できるロケットが必要で、H2Aは打ち上げ能力が少し小さい」と指摘しています。
宇宙開発に力を入れる国は通信分野などで需要が高まっている商業衛星の打ち上げを受注する「打ち上げビジネス」にも乗り出しています。現在、世界で打ち上げられる商業衛星は、年間20機程度と限られているのに対し、10か国近くがこの打ち上げビジネスで激しい競争を繰り広げています。おととしの時点で、打ち上げの受注は、ヨーロッパの「アリアン」とロシアの「プロトン」でおよそ80%を占め、残りをアメリカや中国が争う形になっています。この一角に食い込むため、日本が目標に掲げたのが衛星の打ち上げビジネスで信頼性の目安とされる打ち上げの成功率95%でした。今回の打ち上げ成功でこの目標を達成し、H2Aは、アメリカの「アトラス」(96%)やヨーロッパの「アリアン」(95%)など世界の主要なロケットと肩を並べたことになります。しかし、H2Aの1回の打ち上げ費用はおよそ100億円と、ほかの国のロケットに比べ2割から3割程度高いとされています。限られた数の衛星を巡る激しい受注競争に参入するには、今まで以上に打ち上げコストの削減が求められることになります。さらに、通信衛星を中心に5トンを超える衛星の打ち上げが主流となるなか、もともと10トン前後の打ち上げ能力のある欧米のロケットのほうが、4トン程度の打ち上げを目的にしたH2Aよりも有利な状況にあるのが現実です。H2Aは来年、初めて国際受注した韓国の人工衛星の打ち上げを控えています。今後、国際競争を勝ち抜いていくためには、打ち上げの成功を着実に積み重ねていくのはもちろん、大型化する衛星へのきめ細かい対応や新興国の人材育成への協力など、欧米のロケットへの具体的な対抗策が求められます。
NHKニュース12月13日 7時39分