人の土俵で褌を取る

気になったニュースの備忘録+α

気になる空からの落下物

空からの落下物が相次いでいる。大丈夫なのか。つい、空を見上げてしまう。
10日の昼下がり。長野県辰野町の天竜川沿いにある「ほたる童謡公園」の遊具周辺は、祝日をのんびり過ごす親子連れ20人ほどでにぎわっていた。
そんな日常に割ってはいるように、突然、パラグライダーが落ちてきた。操縦に失敗した男性の足が、すべり台で遊んでいた3歳の女児の頭を直撃。女児は頭の骨が折れる大けがをした。警察は、業務上過失致傷の疑いもあるとみている。
7日には、石川県能美市で、航空自衛隊の戦闘機から長さ6・6メートル、重さ155キロもある燃料タンクなどが落下した。けが人はいなかったが、下水道浄化施設の外柵が壊れた。
宇宙からも。9月の米国の衛星に続き、10月20〜25日の間にドイツの衛星が落下する。燃え残った破片が世界の誰かに当たる確率は、前回の3200分の1よりも、今度の方が2千分の1と高い。
宇宙航空研究開発機構JAXA)によると、宇宙からの落下物に当たって死亡した人は有史以来、記録がない。しかし、1992年に島根県の民家に落ちた隕石(いん・せき)は*1、5メートルずれていれば夫婦を直撃していた。69年にはソ連(当時)沿海州沖で日本漁船にミサイルの破片らしきものが当たり、乗組員5人が負傷した。
落下物でけがをした場合、賠償はされるのか。
事故を起こしたパラグライダーの男性は、日本ハング・パラグライディング連盟の会員だった。連盟によると、約1万人の会員は、フライト中に第三者に与えた物的・人的被害を最高1億円まで賠償する保険に入っている。09年度には人を傷つけて賠償されたケースが3件、自動車が賠償されたケースが6件あった。5千人の会員がいる日本パラグライダー協会も、同様に会員は全員が保険に加入しているという。
自衛隊は3月末現在、飛行機やヘリコプターなど約1100機の航空機を保有している。陸海空の各幕僚監部によると、小さな部品まで含めると昨年1年間で約85件も落下事故は起きているが、地上の人や物に被害を与えた時には、防衛省の賠償担当の専門部署が対応に当たるという。
宇宙からの落下物の場合はどうか。JAXAは、衛星の破片に当たってけがをしたり、家や車が壊れたりした時は、衛星所有国の大使館に届けるよう求めている。衛星を飛ばす国の大半が批准している宇宙損害責任条約にもとづいて、相手国から賠償を受けられる。
ちなみに大気圏で燃え尽きず破片が地上に達する大型衛星の落下は世界で毎年1、2回あり、小型衛星やロケットの破片などの「宇宙ごみ」は1日平均1個落ちてきているという*2
それぞれ、何らかの補償は受けられるとしても、精神的なショックと恐怖は別だ。05年に静岡県警のヘリコプターが目の前に墜落した経験がある静岡市清水区のガラス販売業の原忠さん(68)に話を聞いた。
「自分がいたアパートにぶつかって墜落した瞬間は爆弾でも落ちたかと思って必死で逃げた。間一髪だったと気づいて恐ろしくなったのは少し時間がたってから。事故から1年ほどは、ヘリの音が聞こえるたびに、落ちてこないかと思わず空を見上げていました」
リスク心理学が専門の広瀬弘忠・東京女子大名誉教授によると、鍵は「情報」だという。「確率がゼロに近くても、被害が大きく、自分ではリスクをコントロールできないことに人は恐怖を感じる。空から落ちてくるものに過敏になるのは端的な例だ。不安を少しでも減らすには、衛星落下の情報を米国が細かく公表したように、一般の人が手に入れられる情報をなるべく増やした方がいい」(増谷文生)
朝日新聞ニュース圏外 2011年10月14日03時00分

*1:[http://www5e.biglobe.ne.jp/~shibaya/meteorites/mihonoseki/mihonoseki.html:title=美保関隕石]

*2:参考:[wikipedia:スペースデブリ] ESA [http://www.esa.int/SPECIALS/ESOC/SEMN2VM5NDF_mg_1.html:title=Space debris]