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Photoたいむ:名古屋市科学館 半世紀、星空を映したプラネタリウム引退 /愛知


カールツァイス社製4型プラネタリウムが映し出す星空

カールツァイス社製4型プラネタリウム

新旧プラネタリウムのドーム

◇来春、最新鋭機に交代

過去でも未来でも、北極からでも南極からでも--時代、季節を問わず、地上から見えるさまざまな星空を映し出すプラネタリウム。1962年に開館し、半世紀にわたって多くの人を宇宙の世界にいざない、天文ファンを魅了してきた名古屋市科学館(名古屋市中区)のプラネタリウムが8月いっぱいで引退する。

プラネタリウムは23年にドイツの光学メーカー、カールツァイス社が開発。名古屋には市制70周年の記念事業として、同社の4型が導入された。開館時、「昼間でも星が見られる」と大盛況だった。記者自身も子供のころ、初めて訪れたプラネタリウムで、映し出される星の世界を見たときの感動は忘れられない。

プラネタリウムは今では全国300余に増え、決して珍しくはない。しかし、名古屋市科学館がトップクラスの来場者数を誇るのは、他の施設の多くがあらかじめ作られた番組を自動で投影するのに対し、専門の学芸員が直接語りかける、「生」解説の手法を貫き通しているからだろう。それが多くの人を引きつけ、リピーターを生み出してきた。

4型の引退後、来年3月、カールツァイス社製の最新鋭機9型が導入される。光ファイバーを使い、直径35メートルのドーム内にはより本物に近い星空が再現できる。同館の野田学天文係長は「機械が新しくなってもプラネタリウムは本物の星空へ導くことが役目。新しい機能だけに頼らず、星座探しの楽しさや天文学の面白さを、私たち学芸員の言葉で伝えたい」と話す。

ハードとソフト(生解説)が両輪となって、輝きを放ってきた4型プラネタリウム。今まで培ってきた伝統は、新しいプラネタリウムへ受け継がれていく。【写真・文、鮫島弘樹】

名古屋市科学館は新館開館準備のため、9月1日から来年3月まで休館(生命館はCOP10開催に合わせて、10月11日から同31日まで開館)。
毎日新聞 2010年7月18日 地方版