人の土俵で褌を取る

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上を向いて歩こう

上を向いて歩こう

<スキヤキの魅力よ。長崎を去って以来、焦がれているのさ>。故・坂本九さんが歌い、
一九六三年、全米一位になった「上を向いて歩こう」(SUKIYAKI)には、こんな英語の訳詞がある。珍妙である
▼もちろん原曲は作詞永六輔さん、作曲は故・中村八大さん。永さんは歌詞を六〇年安保闘争の挫折や悲しみ、そしてその先の希望を込めて書いた
▼いろいろな国の歌い手が吹き込んだが、いずれの歌詞も永さんのメッセージとは大きく異なっていた。八〇年代にヒットした英語版も素朴な失恋の歌である
▼「ルック・アット・ザ・スカイ」。十八日、新しい英訳が英国の歌手オリー・マーズさんの歌で発表された。本来の歌詞の意味で世界の人を励ましたい。八大さんの長男の中村力丸さん(50)が訳をオノ・ヨーコさんに依頼していた
▼ヨーコさんもまた、悲しみに上を向いて歩いてきた人である。ビートルズ解散の原因といういわれのない批判。夫ジョン・レノンさんの死。「ヨーコさんだから涙をこらえ歩いていく気持ちを英語にできる」と力丸さんはいう
▼力丸さんは、ヒット曲「こんにちは赤ちゃん」のモデル。八大さんが生まれたばかりの力丸さんに「こんにちは。おれが親父(おやじ)です」と言ったのを見て、永さんが歌詞にした。立派になった「赤ちゃん」のいい仕事に八大さんの軽快なピアノが聞こえる。
中日新聞:中日春秋:コラム(CHUNICHI Web) 2014年2月21日
http://www.chunichi.co.jp/article/column/syunju/CK2014022102000109.html

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