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気になったニュースの備忘録+α

特定秘密保護法案

特定秘密保護法

英国の喜劇俳優が、米国を評して曰(いわ)く。「わが国と米国の違いとは、つまりこういうことだ…英国でワールドシリーズを催すとしたら、我々なら他の国にも参加を求めるだろう」
▼いくら野球の本場とはいえ、国内チャンピオンを決める試合を、ワールドシリーズつまり世界一決定戦と称してはばからぬ感覚。そのお山の大将ぶりを揶揄(やゆ)したジョークだが、やはり世界は米国の掌(たなごころ)の上にあるというのが、米政権の感覚なのだろう
▼米国の情報機関が、世界各国の指導者三十五人の電話を盗聴していたと、英紙ガーディアンが報じた。ドイツのメルケル首相にいたっては、十年余も携帯電話を盗聴され続けたという疑惑が持ち上がり、友への裏切りだとカンカンに怒っている
▼安全保障という大義名分の陰で、同盟国まで丸裸にしようとする。盟友の人権も、プライバシーも、知ったことではない。米中央情報局(CIA)のスノーデン元職員による法を犯しての告発で、米政府が「秘密」を集める手口が、次々に明らかになってきた
安倍政権が今国会で成立を目指している特定秘密保護法案は、そんな米国と秘密を共有するため、かの国から強く促されて作ったという
▼法案を読めば、何が特定秘密かを指定するのは閣僚ら「行政機関の長」と書いてあるが、ひょっとしてこれは「米国の行政機関の長」のことではないのか。
中日新聞:中日春秋:2013年10月29日
http://www.chunichi.co.jp/article/column/syunju/CK2013102902000106.html

秘密保護法案265人反対憲法の3原則侵害

憲法・メディア法と刑事法の研究者が二十八日、それぞれ特定秘密保護法案に反対する声明を発表した。声明に賛成する研究者は憲法・メディア法が百四十人、刑事法が百二十人を超えた。憲法の「知る権利」や「国民主権」を損なう法案の実態が明らかになるにつれ、成立を急ぐ政府とは逆に反対の声が広がっている。
反対声明は憲法・メディア法と刑事法の研究者が二十八日、国会内で合同で記者会見して発表した。
憲法・メディア法研究者の声明は呼び掛け人が二十四人、賛同者百十八人の計百四十二人。刑事法は呼び掛け人二十三人、賛同者百人の計百二十三人。
会見で、憲法・メディア法の呼び掛け人の山内敏弘一橋大名誉教授は「法案は憲法の三つの基本原理である基本的人権国民主権、平和主義と真っ向から衝突し侵害する」と指摘。刑事法の呼び掛け人代表の村井敏邦一橋大名誉教授は「(軍事機密を守る目的で制定された)戦前の軍機保護法と同じ性格。戦前の影響を考えれば、刑事法学者は絶対反対しなければならない」と呼び掛けた。
声明はいずれも法案の問題点として、特定秘密を第三者の点検を受けず政府の判断で指定し、漏えいや取得に厳罰を科して、調査活動をする市民や記者も罪に問われる点を挙げた。その上で「国民の『知る権利』を侵害し憲法の国民主権の基盤を失わせ、憲法に基づいて国民が精査すべき平和主義に反している」などと批判した。憲法・メディア法は奥平康弘東京大名誉教授、東北大や東大などで教授を歴任した樋口陽一氏、杉原泰雄一橋大名誉教授、刑事法は斉藤豊治甲南大名誉教授ら研究者が呼び掛け人、賛同者に名を連ねた。
東京新聞:2013年10月29日 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013102902000154.html