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アマゾン源流の先住民

「謎の部族」保護か非接触か文明と隔絶、アマゾン源流の先住民撮影

2011年11月16日、南米ペルーのアマゾン川源流域で、スペイン人考古学者が撮影した先住民マシコ・ピロの人たち。民間団体サバイバル・インターナショナルが今年1月31日に公開した(ロイター)


マシコ・ピロの姿を撮影したスペイン人の考古学者ディエゴ・コルティーヨさん(AP)


1987年に世界遺産に登録された南米ペルーの南東にある国内最大の「マヌー国立公園」(広さ約15300平方キロメートル)の近くで1月31日、アマゾン川の源流域に住む先住民で、現代文明と一切交わることのない生活を続ける部族、マシコ・ピロ族の貴重な姿をとらえた写真が公開された。(SANKEIEXPRESS)

自然破壊で「迫害」

近年、観光客らを中心に目撃情報が増えていたが、日常生活は謎のベールに包まれており、今回のような鮮明な写真が撮影されたのは初めて。写真の公開を受け、研究者らは「不法な森林伐採や石油・ガスの採掘といった自然破壊行為により、彼らは現在の居住地から他に追いやられている」と説明、保護のために何らかの対策が必要と訴えている。
AP通信や英BBCなどによると、写真を公開したのは、世界各国の先住民族の調査・研究や保護活動を展開する民間団体「サバイバル・インターナショナル」(本部・英ロンドン)。写真は全部で3枚あり、1枚は昨年8月にバードウオッチャーが偶然、撮影したもので、残りの2枚は昨年11月16日にスペイン人の考古学者、ディエゴ・コルティーヨさんが撮影した。
このコルティーヨさんの写真のうちの1枚には、丸太に腰掛けてくつろぐ男性と、その家族とみられる子供たちらが、ほぼ全裸で写っている。この写真は小型カメラを使って隠し撮りされたようで、被写体の周辺が円形状に黒くなっている。

全世界に100以上存在

コルティーヨさんが隠し撮りするしかなかったのには理由がある。ペルーで活動するこの団体の女性メンバーが英BBCに対し「彼らが(自分たちが住む)先祖伝来の土地にやってくる部外者と衝突したり暴力を振るうケースが増加している」と説明するように、観光客らとも“一触即発”状態になっているからだ。コルティーヨさんもマシコ・ピロ族を刺激しないよう約120メートル離れた場所から望遠レンズのついたカメラで撮影した。
実際、昨年10月には森林警備隊員が、マシコ・ピロ族の放った弓矢で負傷。翌11月には、長年、良好な関係を保ってきた地元の別の部族の男性が弓矢で心臓を射抜かれて亡くなった。コルティーヨさんがマシコ・ピロ族の写真を撮影してからわずか6日後の出来事だった。殺害された男性はマシコ・ピロ族と会話でき、意思疎通できる唯一の人物だったという。
この団体などによると、マシコ・ピロ族はマヌー国立公園の域内に数百人いる。彼らを含む現代文明と交わったことがない“未接触”部族はペルーだけで15部族、計12000〜15000人おり、主にアンデス山脈の東側にあるジャングルで暮らしている。さらに全世界にはこうした部族が100以上存在しているという。
観光客へ攻撃懸念
“未接触”部族の置かれている状況について、ある人類学者は「状況は非常にデリケートだ」と述べ、「はっきりしていることは、彼らはよそ者に立ち入ってほしくないと思っているということだ」と訴えた。マシコ・ピロ族に関しては最近、観光客や貨物輸送船が多い河川流域でよく目撃されており、観光客への弓矢攻撃などが懸念されているという。
MSN産経ニュース 2012.2.2 08:07