人の土俵で褌を取る

気になったニュースの備忘録+α

真珠湾攻撃

子に聞かすせんそうという物語むかしむかし、でありますように

記念日には、うれしい記念日も、そうでない記念日もある。今日は無論、後者。一九四一年のこの日、日本は真珠湾攻撃を仕掛け、三百万人以上の日本人が命を落とすことになる太平洋戦争の火蓋(ひぶた)を切る。ちょうど七十年になる
▼児童文学者、高木敏子さんとご夫君の結婚記念日が十二月八日だということを、過日の本紙記事で初めて知った。戦災の体験をつづった代表作『ガラスのうさぎ』を世に出したのも開戦から三十六年後の同じ日
▼どちらも偶然ではない。結婚など、その日を記念日にするため、週末に重なるまで二年も待ったほど。「日本に十二月八日のような日を二度とつくってはいけない」。そんな思いで、うれしい方の記念日をあえて、そうでない記念日の上に刻んだのだ
▼それにしても日本は、なぜ勝算もない対米英戦に突入してしまったのか。作家の半藤一利さんが共著書でポイントに挙げるのが、日本型タコつぼ社会の小集団の弊害、ムード的思考の支配、短兵急に成果を急ぐ発想…
▼時は移ったが、あの事故で見えてきた“原発ムラ”の弊害、異論を許さぬ「原発安全神話」の支配など思う時、その共著書の表題が皮肉に響いてきてならない。『日本人は、なぜ同じ失敗を繰り返すのか』
▼もう本当に繰り返したくない。<子に聞かすせんそうという物語むかしむかし、でありますように>樋口智子
中日春秋2011年12月8日