人の土俵で褌を取る

気になったニュースの備忘録+α

日本の組織の特徴

「失敗したときには、一つとしてきちんとした記録として残したことがないですね。要するに、残すと責任者が出てしまいますからね」

自分で食べ物を食器に盛ることを手盛りという。好きなだけ載せられるので転じて自らに都合よく取り計らうことが「お手盛り」といわれるようになった。「お」を付けるのは皮肉が込められているらしい
福島第一原発の事故で、東京電力の社内事故調査委員会が発表した中間報告は、自らの正当性を強調し、自己弁護の表現が目立つまさに「お手盛り」の内容だった
地震による重要機器の損傷を否定し、すべては想定外の津波のせいと訴えた。賠償を恐れる東電に、お手盛りでない調査を期待することなど無駄だったかもしれない
旧海軍の少将や大佐級が戦後、四百時間にわたって敗因などを語り合った「海軍反省会」の録音テープがある。これを聞いた作家の半藤一利さんは沢地久枝さんらとの対談で日本の組織の特徴を指摘している
「失敗したときには、一つとしてきちんとした記録として残したことがないですね。要するに、残すと責任者が出てしまいますからね」(『日本海軍はなぜ過ったか』)。もう同じ轍(てつ)は踏みたくない
国会の事故調査委員会のトップに、元日本学術会議会長の黒川清さんが起用された。政府や学者、産業界、メディアの姿勢を厳しく批判し、外国人も交えた独立調査委員会の設立を訴えてきた人である。「敗戦」に等しい事故の教訓を、世界の共通財産にするよう徹底調査を望む。
中日春秋 2011年12月5日

九電 最終報告書は修正せず

玄海原子力発電所のメール問題で、第三者委員会が指摘した佐賀県の古川知事の関与などを巡り、最終報告書の修正を検討していた九州電力は、結局、修正しないことを決め、代わりに国に対して第三者委員会の調査結果を「真摯(しんし)に受け止める」とする文書を提出しました。
この問題は、ことし6月に開かれた玄海原発の運転再開を巡る説明会に九州電力や子会社が、一般の人を装って運転再開に賛成するメールなどを投稿していたもので、第三者委員会は、説明会の前、佐賀県の古川知事が九州電力の幹部に「運転再開に賛成する意見も必要だ」と発言したことが発端だと結論づけました。これを受けて、九州電力は、ことし10月、国に最終報告書を提出しましたが、知事の関与などを認めなかったことから枝野経済産業大臣が批判し、九州電力は修正を検討していました。しかし、九州電力は、結局、修正しないことを決め、代わりに第三者委員会の調査結果を「真摯に受け止める」とした文書を22日朝、国に提出しました。そして、担当者が信頼回復の取り組みについて説明したということですが、知事の関与に触れず、報告書を見直さなかったことについて、枝野大臣や国がどう受け止めるか注目されます。これについて枝野経済産業大臣は、提出された文書の内容を確認したことを明らかにしたうえで「九州電力の信頼の回復に向けた自主的な努力の1つだとは思うが、何か1つのことがあったから瞬間的に信頼が回復されるという性質のものではない」と述べました。そのうえで、九州電力に報告書の再提出を求めるかどうかについては「自主的な取り組みが信頼回復につながるか、慎重に見守りたい」と述べるにとどまりました。さらに今回の文書の提出が原子力発電所の運転再開に与える影響について問われたのに対し、枝野大臣は「しっかりした企業統治が行われているのかを見守りながら評価したい」と述べました。
NHKニュース 12月22日 13時38分

SPEEDI「当初から公表必要」文科省が問題認める

文部科学省は23日、東日本大震災での緊急時対応を自己検証した一次報告書を公表した。東京電力福島第1原発事故の発生後、放射性物質の拡散予測システム「SPEEDI」のデータ公表が遅れたことについて「当初から公表する必要があった」と運用に問題があったことを認めたほか、地震と原発事故による複合災害に対応した危機管理体制の見直しが必要とした。
SPEEDIは原発から放出された放射性物質のデータに基づいてシミュレーションを行い、拡散を予測する。しかし、福島第1原発事故の直後は放出源情報システムのダウンでデータが得られず、想定通りに稼働できなかった。
事故の翌日以降、仮定に基づく試算データでシミュレーションを始めたが、結果を公表したのは約2カ月後で、住民避難には役立てられなかった。
報告書は「放出源情報に基づく予測ができなくても仮定のデータでシミュレーションを行い、結果を当初から公表することが必要だった」と指摘。しかし、どのような判断で当初公表しなかったのかなどの経緯はさらに検証が必要とし、年度内をめどにまとめる中間報告まで先送りした。
報告書はこのほか、学校の校舎や校庭の利用判断、学校給食、原子力損害賠償制度の運用などについても詳細な検証が必要とした。
産経ニュース 2011.12.23 21:05