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氷河

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立山に氷河三つか


氷河の可能性が非常に高いとされた小窓雪渓。雪氷体の裂け目であるクレバスが走っていた


氷河の可能性が非常に高いとされた三ノ窓雪渓は、両側が切り立った急傾面にある(立山カルデラ砂防博物館提供)

氷体流動劔岳2雪渓でも

北アルプス立山連峰で進められている氷河調査で、剱岳北東の二つの越年雪渓も氷河である可能性が高いと15日、発表された。昨年、氷体の流動が観測された雄山東側の雪渓と合わせると、国内に現存しないとされてきた氷河が、立山連峰に三つ存在する可能性が出てきた。
東京都立川市国立極地研究所でこの日にあった「第34回極域気水圏シンポジウム」で、立山カルデラ砂防博物館の飯田肇学芸課長と福井幸太郎学芸員が発表した。
新たに流動が確認されたのは、剱岳北方稜線(りょう・せん)東側の三ノ窓雪渓(全長1・6キロ、幅100メートル)と小窓雪渓(全長1・2キロ、幅約200メートル)。各2カ所で全地球測位システム(GPS)を利用して観測した結果、三ノ窓雪渓で最大31センチ、小窓雪渓で最大32センチの幅で、雪渓の傾斜と同じ方向に流動が確認された。
計算では、年間4メートル程度、動いていることになるという。三ノ窓雪渓の氷体は大型で、全長1・2キロ、厚さが30メートル超であることも分かった。
一方、雄山東側の御前(ご・ぜん)沢雪渓(全長700〜800メートル、幅200〜300メートル)でも昨年に引き続き観測した。6地点の観測では、52日間で7〜9センチの流動が確認された。
福井さんは「三ノ窓と小窓の両雪渓は、ヒマラヤなどの小型氷河に匹敵する規模の流動速度で、氷河の可能性が非常に高い。御前沢雪渓は氷河の可能性がより高まった」と話した。
ただ、氷河と認められるには、1年以上継続的に動いていることが条件になる。観測は9〜10月の短期間だが、福井さんらは、この期間は、雪氷体が最も薄く流動速度が一年間で最も遅い時期であるのに、誤差範囲を超える動きが確認されたとして「氷体が、一年を通じて連続して動いている可能性が非常に高い」と結論づけた。
今後は、観測結果を論文にまとめて日本雪氷学会誌や国際学術誌などに発表して評価を受ける。同研究所前所長の藤井理行さんは「通年で氷体が動いているかどうかは議論があるかもしれないが、学会でも認められる可能性は高い。調査した雪渓は、氷河のできはじめがどのような状態なのかを表しており、貴重な研究例だ」と話した。
(天野彰人)
asahi.com my town 富山 2011年11月16日

剣岳にも氷河?氷体流動2カ所で確認


氷河の可能性が高い氷体が見つかった小窓雪渓=10月19日、富山県立山町で(立山カルデラ砂防博物館提供)

立山カルデラ砂防博物館調査
富山県の北アルプス立山連峰で、氷河の可能性が高い氷体が、剣岳(二、九九九メートル)周辺二カ所でも見つかった。氷体の流動を調査した立山カルデラ砂防博物館(富山県立山町)が十五日、国立極地研究所(東京都立川市)で開かれた「極域気水圏シンポジウム」で発表した。雄山(三、〇〇三メートル)の東側斜面を含め、氷体の流動が確認できたのは計三カ所となる。(山田晃史)
氷河の条件「重力で長時間にわたって流動」が確定すれば、これまでロシア・カムチャツカ半島以北とされていた極東アジアの氷河の分布図が大きく南に下がることになる。
調査したのは、同博物館の飯田肇学芸課長(55)と福井幸太郎学芸員(38)。剣岳北方稜線(りょうせん)の東側斜面で六月上旬、万年雪の下にある氷の大きさを測定し、三ノ窓雪渓で長さ千二百メートル、幅百メートル、厚さ三十メートル以上、小窓雪渓で長さ九百メートル、幅二百メートル、厚さ最大三十メートルの氷体をそれぞれ確認した。

九〜十月には氷体に穴を開けてポールを設置し、衛星利用測位システム(GPS)を使って三十一日間観測。三ノ窓で最大三十一センチ、小窓で最大三十二センチの流動があった。年間流動速度に換算すると約四メートルで、ヒマラヤの小型氷河の流動速度に匹敵するという。二〇〇九年九月に氷体を確認した御前沢雪渓は、今年九〜十月の流動が五十二日間で最大九センチ。それよりも移動が大きかった。
福井学芸員は「立山連峰は、氷河が存在するのが難しい温暖な場所にある。特殊な形成や維持のメカニズムがあるはずで、その特性を探りたい」と話す。
同博物館は、これまでの発見が日本初の氷河と公式認定されるように観測結果を日本雪氷学会誌や国際学術誌などに論文として発表する。
中日新聞 2011年11月16日

Q:なぜ、富士山や北海道でなく、立山で「氷河」が見つかったの?
A:豪雪地帯にある高い山


剱岳の三ノ窓雪渓(今年10月撮影、立山カルデラ砂防博物館提供)

11月15日、富山県の立山カルデラ砂防博物館が、「立山連峰の主峰・雄山と剱岳の計3か所で氷河とみられる氷の塊を確認した」と発表しました。正式に氷河と認定されると、日本で初めての発見になります。
標高の高い山や極地で、川のように上流から下流へ移動している巨大な氷の塊のことを「氷河」と言います。日本にも、1万2000年くらい前までは氷河があったとされていますが、温暖な時代(間氷期)に入り、もはや氷河は残っていないと考えられていました。
発表直後の報道をみて疑問に感じたのは、「なぜ立山なんだろう」「なぜ今ごろ見つかったのだろう」の2点でした。
氷河ができる条件は、「気温が低いこと」と「夏に解けてなくならないほどたっぷり雪が降ること」です。日本で最も気温が低い場所は富士山頂ですが、降雪量が足りません。
北海道は、2500メートルを超えるような高い山がなく、降雪量も多くないので、氷河はありません。二つの条件を満たすのが、豪雪地帯にある立山だったわけです。調査地点の一つ・剱岳の三ノ窓雪渓では、厚さ30メートルの氷河が、年に4メートルのスピードで下流に向かって動いていると推定されています。
なぜ21世紀になってから見つかったのでしょうか。氷河のある雪渓は、断崖絶壁の向こうにあります。現地に行くにはプロの山岳ガイドの協力が必要で、野外調査に慣れた研究者でも単独では入れません。断崖絶壁が詳しい調査を阻んできたのです。
氷河を確認した砂防博物館の福井幸太郎学芸員は、「小型の観測機器が開発されたおかげ」とも言います。氷の厚さを測るアイスレーダーやGPS計測器が、雪渓に持ち込める携帯サイズの大きさになったのは、最近のことです。戦前に登山家としても有名な京都大学今西錦司博士が立山に入り、雪渓が氷河である可能性を書き記しているそうですが、当時は確認する方法がありませんでした。科学技術の進歩が氷河の発見を可能にしたのです。
(調査研究本部研究員芝田裕一)
読売新聞 2011年11月24日

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2013年3月30日追記

立山連峰で4番目氷河か

http://www45.atwiki.jp/jippensha/?cmd=upload&act=open&page=%E3%83%96%E3%83%AD%E3%82%B007&file=64_%E7%AB%8B%E5%B1%B1%E9%80%A3%E5%B3%B0%E3%81%A7%EF%BC%94%E7%95%AA%E7%9B%AE%E6%B0%B7%E6%B2%B3.jpg

立山連峰・剣岳の「池ノ谷右俣雪渓」=2012年10月(立山カルデラ砂防博物館提供)
富山県の立山カルデラ砂防博物館(同県立山町)の調査チームは29日、埼玉県で開かれた日本地理学会で、富山県の立山連峰・剣岳(2999m)の雪渓で見つかった氷の塊「氷体」がゆっくり動いており、国内4番目の氷河の可能性が高いと発表した。博物館の飯田肇学芸課長(57)によると、氷体は剣岳西側の斜面にある「池ノ谷右俣雪渓」で見つかり、全長約200m、幅は最大で約50m、厚さは最大で約40m。昨年9〜10月、全地球測位システム(GPS)などを使い2カ所で調査した結果、水平距離で月に11cmと15cmの流動が確認された。飯田課長は「周囲を断崖絶壁に囲まれ、雪が多いことから、山頂付近からの雪崩がたまって氷体ができて、動いているのではないか」と分析している。
MSN産経フォト - 2013年03月29日
http://photo.sankei.jp.msn.com/highlight/data/2013/03/29/24glacier/

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