人の土俵で褌を取る

気になったニュースの備忘録+α

作家・北杜夫さん 死去

小説「楡家(にれけ)の人びと」やユーモアあふれるエッセーの「どくとるマンボウ」シリーズなどで知られる作家の北杜夫さんが、24日亡くなりました。84歳でした。

北杜夫さんは昭和2年、東京に生まれ、東北大学医学部に在学中から小説を書き続けました。大学を卒業後、船医として水産庁の調査船に乗り込んだ体験をユーモラスに描いた「どくとるマンボウ航海記」が昭和35年にベストセラーになったほか、同じ年に発表した、ナチスに抵抗する精神科医を描いた「夜と霧の隅で」が芥川賞を受賞し、作家として本格的に活動を始めました。その後も、自身の家系をモデルにして三代にわたる精神科医の一族の没落を描いた「楡家の人びと」や、明治時代にブラジルに入植した日本人移民を取り上げた「輝ける碧き空の下で」などの純文学作品でベストセラーを生み出す一方、ユーモアあふれるエッセーや紀行文なども手がけました。父親は歌人の斎藤茂吉で、平成3年から平成10年にかけて発表した、4部作の「斎藤茂吉伝」で大佛次郎賞を受賞しました。北さんは、最近は若いころに集めた昆虫の標本を集めた展示会を開くなどの活動を続け、去年、人気シリーズの最新作「マンボウ家の思い出旅行」を出版しました。今月1日には長野県軽井沢町で開かれたトークショーにも出席しましたが、今月23日に体調を崩して入院していました。
北杜夫さんと同人誌の製作を通じて知り合い、60年余りにわたって親交のあった、作家の佐藤愛子さん(88)は、「北さんと私は互いに20代で文学を志し、作品の批評をはじめ何でも言いたいことを言い合える仲で、肉親のような親しみを感じてきました。同人誌のほかのメンバーはすでに亡くなっていて、突然の訃報を悲しみ合う仲間もおらず、今はただ喪失感に襲われています」と話しています。
ドイツ文学者で、北杜夫さんと親交があった東洋大学名誉教授の岡田朝雄さんは、「今月1日に北さんとお会いしたときはお元気な様子だったので、突然の知らせにただ、びっくりしています。北さんは硬派の文学でも多くの名作を残したが、一方で日本文学にユーモアを取り入れて成功した希有な作家だった。ご冥福をお祈りします」と話しています。
NHKニュース 10月26日 9時38分

新種コガネムシ:北杜夫さんにちなみ和名「マンボウ」


 長野県安曇野市の昆虫収集家、平沢伴明さん(54)がコガネムシの仲間「ビロウドコガネ」の新種を発見し、近く研究論文を信州昆虫学会の機関誌「ニューエントモロジスト」に掲載する。学名はラテン語で「ユーマラデラ・キタモリオイ」、和名は「マンボウビロウドコガネ」。平沢さんが昆虫採集を通じて交流がある作家、北杜夫(きた・もりお)さん(84)の名前にちなんで命名した。
 北さんは「どくとるマンボウ昆虫記」を執筆し、昆虫好きで知られる。命名に「とても照れくさいけれど光栄。大好きなコガネムシなのでうれしい」と喜んでいたという。
 新種は小豆色で体長約7ミリ。平沢さんの知人が94年に沖縄県・西表島で採取した4匹を譲り受けた。今春、図鑑執筆の際に改めて標本を確認し、雄の生殖器の構造が他の種と違うことが分かった。
 平沢さんは信州大出身。旧制松本高(長野県松本市、現信州大)に通った北さんの後輩に当たる。北さんはエッセーなどの中で、学生時代に信州の山々を歩き、昆虫収集した思い出を書いている。
 2人の交流は86年、北さんがテレビ番組の収録で松本を訪れた際、地元のコガネムシ収集家の平沢さんと出会ったのが始まり。その後も個人的に平沢さんを訪ね、標本を見たりしたという。
 北さんのファンという平沢さんは「昆虫研究が広く理解されるうえでも、北さんの功績は大きい。喜んでもらえてうれしい」と話している。標本は17日、松本市の信州大で開かれる日本昆虫学会の会場に展示される。
 ◇ビロウドコガネ◇
 コガネムシ科コフキコガネ亜科に属する。体長約5ミリ〜1センチ。体の表面は細かい毛で覆われ、つやがないことから「ビロード」の名がついた。世界各地に生息し、国内だけで約100種類いる。
【古川修司】毎日新聞 2011年9月16日 15時01分

本当に偶然なんだろうか。
今回も数日前に家内に北杜夫のことを話したばかりだ。
松本高等学校時代の北杜夫が苦手な科目のテストでの解答が・・・で、先生は合格点は付けてくれなかったがそれに近い点数を付けてくれたと言う粋な話し。
このように私が話題に上げるとその人は直ぐに亡くなってしまう。しかもその時はもう直ぐ亡くなるのではとも思ってしまった。
以前にも書いたが、このように偶然が数回重なると凄い確率で当たると思い込んでしまう。本当は当たっていない事象は忘れているだけなのに。
それにしても・・・
まあ亡くなられた方々はそれなりの年齢だし当たり前か。

斉藤宗吉(北杜夫) 物理テスト_1「僕らの物理学」


解答

「僕らの物理学」

恋人よ
この世に物理学とか言うものがあることは
海のようにも
空のようにも悲しいことだ

恋人よ
僕はこんなに頭がよいのに
この物理学のおかげでもってあなたから
白痴のように思われてしまった。
あなたがそんなに心配そうに僕の顔をのぞきこむから
僕は昨日死んだつもりになって
生まれてから三十分とつづけたことの無い物理の勉強を
なんと六時間もやったのだ。
僕はこんなに頭がよいしあなたの瞳も元気づけてくれたから
たとへノートが七十八頁あったとしても
参考書が二百四十五頁あったとしても
活字の数が十三萬八千六百五十六あったとしても
もういくら何だってできるつもりでいたのだったが・・・・・

恋人よ
僕が物理で満点をとる日こそ
世界の滅亡の日だと思ってくれ
僕らにはクーロンの法則*1だけあれば沢山だ
二人の愛は距離の二乗に反比例する

恋人よ
僕等はぴったりと抱き合おう!(帝国芸術院賞授賞作品)
第1章 重要文化財・旧制松本高等学校へ行く

*1:2つの電荷間で作用する力は距離の2乗に反比例する